海外(国外)取引の売上は消費税の課税対象となる?ならない?その疑問を解決!
消費税は消費者が負担して事業者が納付する税金であり、海外に消費者がいる輸出取引は免税となります。また、海外との取引において消費税がかかるケースは「輸入取引」のみです。
そもそも消費税とは商品やサービスの販売・取引に対して課税され、消費者が負担して事業者が納付する税金であり、私たちの普段の生活でもっとも馴染み深い税金のひとつです。
このテキストでは、そんな海外取引における消費税について理解を深めていきます。国外の取引における課税対象や、取引の仕組み、注意すべきポイントなどの基礎知識をはじめとして、海外取引か国内取引かはっきりしないケースなどについても詳しく解説していきます。
▼海外(国外)取引の売上は消費税の課税対象となる?ならない?その疑問を解決!
- 1. 海外(国外)取引において消費税の課税対象となる取引とは?
- 2. 消費税の課税対象となる取引の仕組みを知る
- 3. 輸出取引では消費税が免除される理由
- 4. 海外(国外)取引と国内取引の判定基準とは
- 5. 海外(国外)取引か国内取引かはっきりしない場合は?
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1. 海外(国外)取引において消費税の課税対象となる取引とは?
海外(国外)取引において消費税の課税対象となる取引について解説する前に、まず、大前提として、消費税がかかるのは事業者によって行われる国内取引と輸入取引の場合であり、海外(国外)で行われる取引は課税対象とはなりません。
【結論】海外取引では消費税は課税されない
結論から言うと、消費税は消費者が負担して事業者が納付する税金であり、海外に消費者がいる輸出取引は免税となります。
つまり、海外取引では消費税は課税されません。
消費税がかかる取引は「国内取引」と「輸入取引」
そして先述したとおり、事業者によって行われる国内取引と輸入取引には消費税がかかります。
そのため、海外との取引において消費税がかかるケースは「輸入取引」のみです。
2. 消費税の課税対象となる取引の仕組みを知る
では、消費税の課税対象となる取引とはどのようなものなのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
消費税がかかる取引とは?
消費税は国内における取引に対して課税されるものです。
国内と海外の両方で取引を行うようなケースは、国内取引か海外取引どちらであるかの判定が必要となりますが、判定基準は下記の2つです。
・資産の譲渡又は貸付けであるケース
・役務の提供であるケース
こちらについては後ほど詳しく解説します。
国内取引の場合
続いて国内取引の場合ですが、国内で行う下記の取引は課税対象となります。
・事業者が事業として行うもの
・対価を得て行うもの
・資産の譲渡・資産の貸付け・役務の提供
それぞれを詳しく見ていきましょう。
■事業者が事業として行うもの
法人の場合はすべての国内取引が事業として行うものとみなされます。
個人事業者の場合は消費者として行う取引(例えば、個人事業者が家庭で使用している家電の売却など)は事業として行うものとはみなされません。
■対価を得て行うもの
対価が発生しない寄付金などは課税対象にならないのが原則です。
■資産の譲渡・資産の貸付・役務の提供
「資産の譲渡」とは、売買や交換によって同一性を保持された資産が他人に移転することを言います。
「資産の貸付」とは、賃貸借などによって資産を他人に貸して使用させることで、「役務の提供」とは、請負契約や委任契約などの契約に基づき、労務やサービスなどを提供することです。
輸入取引の場合
輸入取引において課税されるのは、保税地域から引き取られる外国貨物です。
■保税地域とは
関税などを課さず、外国貨物を製造・加工できる場所として税関長に許可されている地域のことです。
輸入取引で注意すべきポイント
輸入においては原則として国内と同じ消費税が課税されますが、課税価格が1万円以下の物品は免税となります。ただし例外もあり、革製品やスキー靴など免税が適用されないものもあるので注意しましょう。
日本の消費税は10%ですが、うち7.8%は内国消費税であり、2.2%が地方消費税です。軽減税率は8%であり、内訳は6.24%の内国消費税と1.76%の地方消費税となっています。それぞれの消費税計算方法は下記のとおりです。
■消費税計算方法
内国消費税(7.8%):
端数処理前のCIF価格と端数処理後の関税額の合計(1000円未満は切り捨て)に対して課税され、100円未満は切り捨てとなります。
地方消費税(2.2%):
内国消費税額の22/78に当たる額となり、100円未満は切捨てとなります。
■消費税計算方法(軽減税率適用時)
内国消費税(6.24%):
端数処理前のCIF価格と端数処理後の関税額の合計(1000円未満は切り捨て)に対して課税され、100円未満は切り捨てとなります。
地方消費税(1.76%):
22/78に当たる額となり、100円未満は切捨てとなります。
海外送金で注意すべきポイント
通常、海外送金自体には消費税が課されることはありません。なぜなら、海外送金はお金の移動であり、商品やサービスの提供ではないためです。具体的な課税対象となるのは、商品やサービスの提供に伴う消費税です。
しかし、海外送金を行う際には以下の点に留意する必要があります。
■海外からのサービスの提供に伴う消費税
海外からのサービスを受ける場合、そのサービス提供に対する消費税がかかる可能性があります。たとえば、海外企業からのオンラインサービスの利用や、外国のコンサルティング会社からのサービス提供などがこれに該当します。この場合、サービスを受ける側が消費税を支払うことになります。
■輸入消費税
海外から物品を購入し、それを日本に輸入する場合、関税とともに輸入消費税が課税されます。つまり、商品の価格に関税や輸入消費税が含まれており、その合計額が海外送金の対象となります。
■送金手数料に含まれる税金
海外送金サービスを利用する際には、送金手数料に消費税が含まれる場合があります。これは、送金手数料に関する国内の規定に基づくものであり、手数料にかかる消費税は日本国内で支払うことになります。
海外送金における消費税の扱いは、送金自体ではなくその周辺の取引に関連することが多いため、正確な情報を得るためには関係する法規や規定をよく確認する必要があります。
3. 輸出取引では消費税が免除される理由
前述の通り、輸入取引では国内取引と同じ率の消費税が課税されるのに対し、輸出取引では免税となります。それはなぜでしょうか?
以下より詳しく見ていきましょう。
輸出取引で消費税が免除される=輸出免税とは?
輸出免税とは輸出において消費税が免税されることですが、これは、消費税は国内で消費される商品やサービスに対して課税されるものであり、海外での消費には課税しないという考えに基づいたものです。
輸出取引の際に免税取引とならないケースとは?
海外法人であっても、日本の国内に支店がある場合は国内支店を通じて取引が行われているとみなされるため、課税対象となります。非居住者でも同様です。
国内支店があったとしても、国内支店が海外取引に直接関わっていない場合は輸出免税の対象となることもあります。
輸出取引で注意すべきポイント
海外での消費には課税しないという考えから、輸出取引には消費税はかかりません。また、課税事業者に限っては消費税の還付を受けることが可能となっています。免税事業者は還付を受けることはできないため、輸出を主な事業とする場合は、設立の際に課税事業者として届け出を行うことが必要です。
4. 海外(国外)取引と国内取引の判定基準とは
商品・サービスの販売や貸し付けが国内or国外で行われたか否かが基準
先述したように、国内と海外の両方で取引を行う場合は国内取引か海外取引どちらかの判定が必要となり、判定基準は「資産の譲渡又は貸付けであるケース」「役務の提供であるケース」の2つです。
それぞれを詳しく見てみましょう。
■資産の譲渡又は貸付けであるケース
資産の譲渡又は貸付けの場合は、資産の所在地が国内なら国内取引、海外であれば海外取引とみなされるため、非課税となります。
■役務の提供であるケース
役務の提供が行われたのが国内なら国内取引、海外であれば海外取引とみなされるため、非課税となります。
5. 海外(国外)取引か国内取引かはっきりしない場合は?
国内と海外の両方で取引を行うようなケースは、国内取引か海外取引どちらであるかの判定が必要となることはすでに解説したとおりですが、どちらかはっきりしない場合には特別ルールが適用されることも知っておくといいでしょう。
国内or国外なのかはっきりしない際は特別ルールが適用される
性質上、国内外の判定が難しい取引があります。例えば海外子会社に特許権などの使用許諾を与えたケースなどです。この場合はそれらの権利が登録されている機関の所在地で判断されるので、日本の特許庁で登録した特許を海外子会社に使用させる場合は国内取引とみなされ、消費税の課税対象となります。
ただしこれは、輸出類似取引に該当するため結果的には免税となるようです。
国内と海外間に及ぶ調査を依頼したケースにおいて役務提供地が明確でない場合は、役務提供者の事業所の所在地がどこかによって国内国外の判断がなされます。
6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
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今回は「海外取引における消費税」について解説しました。
基本的に国内の取引に対して課税される消費税ですが、グローバル化が進んだ現代においては、国内取引か海外取引か判断しづらいケースも増えているため、一部の取引には注意が必要です。
海外との取引を考える際には日本の消費税だけではなく相手国の税制についても理解を深める必要があります。
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