海外で飲食店を開業する流れとメリットをわかりやすく解説

海外で飲食店を開業するための手順について、その正しい流れ(ワークフロー)を順を追ってわかりやすく解説していきます。あわせて海外で飲食店を開業するメリットについても簡潔に解説します。
日本のみならず世界中で飲食店の海外進出(グローバル出店)が加速しているのはご存じのとおり。多くの飲食店経営者が、縮小傾向にある国内の消費市場だけでなく、急成長する海外の消費市場へと目を向け始めているのです。当然ながら、それは日本でも例外ではありません。
パンデミック以前のインバウンドブームの二次効果として、本場の「日本の味」を体験して帰国した訪日外国人による「自国でも日本食を味わいたい」というニーズがありました。コロナが落ち着きを見せ始めた今こそが、海外で飲食業を開業する絶好のチャンスなのです。
本テキストでは、海外での店舗開業までの大まかな流れを軸に、情報収集から事業計画、さらには開業に必要な資金調達方法からリーガルチェックなどを含めた、各フローで注意すべきポイントについてわかりやすくレクチャーします。
海外で飲食店を開業する流れとメリットをわかりやすく解説
- 1. 海外で飲食店を開業する5つのメリット
- 2. 海外で飲食店を開業する10の流れ
- ① 海外で店舗開業までの「情報収集」
- ②〝6W2H〟の「コンセプト設計」
- ③ 開業資金を得るための「事業計画」
- ④ 海外で開業するための「資金調達方法」
- ⑤ 海外現地の「店舗物件選び」
- ⑥ 国によって異なる「リーガルチェック」
- ⑦ コンセプトや事業計画に沿った「お店作り」
- ⑧ 海外現地での「開業手続き」
- ⑨ 海外現地スタッフの「人材募集」
- ⑩ 海外での「店舗オープン」
- 3. コロナ禍を経て最も海外進出のチャンスがある業種は「飲食業」
アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. 海外で飲食店を開業する5つのメリット
海外で飲食店を開業するまでの流れを解説する前に、海外展開の手順と流れとポイントについて簡潔に解説します。海外での飲食店出店には様々なメリットが考えられますが、その中でも特に重要と思われる5つのメリットを簡潔に解説します。
1.ブランド価値の向上
海外に出店することで、日本国内だけでなく国際的にも認知されるブランドになる可能性があります。成功すれば、そのブランド力は日本国内でもさらなる信頼として還元される可能性が高まります。
2.新たな市場の開拓
異なる文化や価値観の中でビジネスを行うことで、経営者や従業員の異文化への適応能力や視野が広がります。これは、今後の経営戦略や新しいメニュー開発などの面での創造的なアイディアを生む可能性があります。
3.異文化への適応能力向
異なる文化や価値観の中でビジネスを行うことで、経営者や従業員の異文化への適応能力や視野が広がります。これは、今後の経営戦略や新しいメニュー開発などの面での創造的なアイディアを生む可能性があります。
4.海外の食材や技術の導入
海外出店をすることで、その地域独自の食材や調理技術と触れ合う機会が増えます。これを活用することで、新しいメニューやサービスを日本の店舗でも導入することができ、差別化の要因として利用することができます。
5.国際的なネットワークの構築
海外に出店することで、その地域のビジネスパートナーや他の飲食店との連携が生まれる可能性があります。このような国際的なネットワークは、今後のビジネス拡大や情報収集に非常に有益です。
上記の5つ以外でも、海外出店には様々なメリットがありますが、同時にリスクも伴います。その国独自の文化や市場や法律や規制など様々な要因を十分にリサーチすることはもちろん、次項より解説する「海外で飲食店を開業するまでの流れ」を参考に計画的に進めていきましょう。
2. 海外で飲食店を開業する10の流れ
ここからは、海外で飲食店を開業するためのワークフローを順を追ってわかりやすく解説していきます。

① 海外で店舗開業までの「情報収集」
現地ユーザーのニーズも含めた各種情報を取得
いざ海外での飲食店の開業を決意したら、まず取り組むべきは「情報収集」です。それは出店先が日本でも海外でも変わりありません。
理想を言えば、すでに進出国や現地エリアが決定しているなら、早速、現地視察を敢行することも考えられますが、その前段階として、雑誌や書籍、新聞やインターネット、あるいは友人・知人でも構いません、様々なソースから、進出先の飲食事業全般に関する、市場動向やトレンドはもちろん、現地ユーザーのニーズも含めた各種情報を取得することから始めましょう。
②〝6W2H〟の「コンセプト設計」
オリジナルの「コンセプトシート」を作成
ある程度の情報が収集できたら、次は「コンセプト作り」に移行しましょう。「どこの国のどこのエリアに進出して、どのようなお店を作りたいのか…?」というイメージを、具体的な言葉に落とし込むフローになります。
よりスムーズに作業を進めるためにも、オリジナルの「コンセプトシート」を作成するとよいでしょう。コンセプト作りに必要な要素を「6W2H」に落とし込んで、それらをシートとして書き出してみるのがオススメです。
具体的には…
・WHY(なぜ / 自らの動機・顧客の利用動機)
・WHERE(どこで/ 進出国・出店エリアなど)
・WHO(誰が / オーナー・店舗スタッフなど)
・WHAT(何を / 業態・メニューなど)
・WHEN(いつ / 出店時期・営業時間など)
・WHOM(誰に / ターゲット客層)
・HOW(どのように / 商品やサービスの給仕の仕方・スタイルなど)
・HOW MUCH(いくら / 価格帯など)
…といった項目を書き出すとよいでしょう。
また、進出国のエリアを意識した、提供商品の「味覚のローカライズ」や「クオリティコントロール」も含めて、コンセプトを固めていきましょう。
③ 開業資金を得るための「事業計画」
各数字を元に事業計画書を作成
コンセプトが決定したら、いよいよ「3.事業計画」のフローに取りかかりましょう。事前にコンセプトが決まっていれば、自然と業種や価格といった項目も、ある程度は限定されますから、事業に関する「資金計画」も自ずと限定されます。
飲食店開業時に必要とされる資金の内訳は、①投資計画 ②売上計画 ③損益計画 ④返済計画 と、大きく4つに分類できます。
例えば、上記の4つからさらに細分化された「売上・売上原価(食材など)・諸経費(水道光熱費・販促費)・人件費・設備投資費」といった項目も、事前にコンセプトが固まっていれば、おおよその見積もりは可能になります。
これらの数字を元に作成された「事業計画書」こそが、次のフローである「資金調達」において、融資などを受ける際に必要な資料になります。
④ 海外で開業するための「資金調達方法」
最低でも開業資金の3分の1程度を目標に
開業資金を調達するには、①自己資金 ②親族・知人からの借り入れ ③金融機関からの借り入れ と、おもに3つの方法があります。
もちろん理想としては、全額を自己資金でまかなえるのがベストですが、可能であれば半分、最低でも3分の1は用意できるようにしましょう。その理由としては、仮に足りない分を金融機関から資金を調達する算段であっても、開業資金の3分の1程度が用意できなければ、そもそも借り入れ自体が難しくなってしまうからです。
また、あなたが新規開業者である場合は、銀行などの民間金融機関からの借り入れは、実績も信用も不充分なため、信用のある担保などがないと難しいかもしれません。そのようなケースでは、公共の金融機関である「日本政策金融金庫」を活用しましょう。日本政策金融金庫では、「海外展開・事業再編資金(企業活力強化貸付)」といった融資があり、特にASEAN諸国や中国などで事業展開する中小企業および小規模事業者の支援を積極手記に行っています。
そして、現地視察などに活用できる補助金及び助成金も存在します。自身の目的に合った補助金・助成金をリサーチして、積極的に活用していきましょう。
⑤ 海外現地の「店舗物件選び」
まず考慮すべきは「立地条件」
現地の不動産オーナーとの交渉も重要ですが、ここでは、事業責任者であるあなたが、物件交渉以前に認識しておくべき、店舗物件選びのポイントに絞って解説します。
物件選びの際に考慮すべき大きなポイントは「立地条件」になります。それをさらに細かく述べると、①賃料 ②場所(人通りの多さや近隣の交通機関など) ③店舗面積 ④建物内の階数(基本的に1Fが望ましいとされる) となります。
残念ながら、これらの条件をすべて満たした店舗物件を見つけることは、国内はもちろんのこと、海外であれば、なおのこと困難でしょう。自身の「コンセプト」と照らし合わせながら、譲れる部分と妥協すべき部分を選り分けましょう。
⑥ 国によって異なる「リーガルチェック」
法的リスクの確認を
前項の「店舗物件選び」における、不動産契約書に限らず、事業に関する契約書にサインする場合は、その法的リスクの有無をプロの専門家にチェックしもらう、いわゆる「リーガルチェック」が必要になります。
特に、国内とは異なる様々なリスクが内包されている海外ビジネスにおいては、なおのこと重要なワークフロー(流れ・手順)のひとつになります。現地のビジネスルールを知らないだけで、思わぬ規制を受けたり、現地の商習慣を誤って認識していると、最悪の場合、事業停止などの重大なトラブルにつながります。
後のワークフロー(流れ・手順)に控えている「開業手続き」はもちろん、不動産契約など重要な諸契約に関しては、海外の飲食業に詳しい現地コンサルなど、その道のプロのサポートを受けることを強くオススメします。
⑦ コンセプトや事業計画に沿った「お店作り」
事前に決めた「コンセプト」や「事業計画」に沿って進める
店舗物件が決定したら、次は「お店作り」です。具体的には、店舗の設計・内外装の施工、厨房機器や食器選び、さらにはメニュー選定および開発など、その内容は多岐に渡ります。
その際も、事前に決めた「コンセプト」や「事業計画」に沿って、準備を進めていくとよいでしょう。また、現地の施工業者に依頼する場合も、先述のように現地パートナーとの連携が必要不可欠です。「お店作り」のワークフロー(流れ・手順)においても、その都度、事前に確認し合いながら作業を進めましょう。
⑧ 海外現地での「開業手続き」
開業に必要な条件や課題などをクリアにしておく
店舗オープンに先がけて必要なのが「開業手続き」になります。日本であれば、食品衛生責任者の資格・食品営業許可申請…etc.など、保健所や消防といった諸官庁への届出や手続きを行いますが、海外で開業するとなると、当然ながら進出国によって、必要な手続きの方法がまったく異なります。
それこそ国によっては、飲食業自体が「外国人参集禁止業種」に規定されているケース(※現地パートナーとの共同名義なら認可されるなど)もあり、最初の「1. 情報収集」の段階で、進出国に関する懸念事項を洗い出し、「6.リーガルチェック」と同様に、事前にサポート企業などの専門家に相談するなどして、開業に必要な条件や課題などをクリアにしておきましょう。
⑨ 海外現地スタッフの「人材募集」
現地の人材サービスやWEB求人サイトも活用
開業時期が決定したら、店舗スタッフの募集も開始しましょう。日本からの人材で対応する、あるいは進出国在住の日本人スタッフor現地人材のスタッフを募集するなど、さまざまなケースが考えられると思います。
仮に現地人材に関するツテやコネがなくても、現地の人材募集サービスや、「海外就職」に特化したWEB求人サイト(日本人が対象)などを積極的に活用することでカバーできるはずです。
⑩ 海外での「店舗オープン」
平行してスタッフ育成や販促活動も
必要な人材も確保できたら、いよいよ「開業」です。もちろん開業と平行して、スタッフの教育を行ったり、お店の販促活動(プロモーション全般)をする必要もあるでしょう。
言うまでもなく、開業とはあくまでスタートであり、ゴールではありません。それが「海外」を舞台にしたものならなおのことです。さらなる事業の拡大である“横展開”を目指して、頑張りましょう!
3. コロナ禍を経て最も海外進出のチャンスがある業種は「飲食業」
日本食ブームは健在! 「飲食業」は海外にさらなるチャンス
最後に「海外で飲食店を開業するための手順」の補足情報として、「今、最も海外進出のチャンスがある業種は〝飲食業〟である」というアンケートデータを紹介します。
毎年、海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima~出島~」では1年間の進出相談と海外進出企業ならびに、海外進出支援企業を対象に実施したアンケートをもとに「海外進出白書」を作成しています。
最新の白書にて、海外進出をサポートする事業者に『今、最も「海外進出のチャンス」があると思う業種』についてアンケート調査をした結果が以下のグラフになります。
「飲食」という回答が60%を超え、最も多く寄せられる結果となりました。そして、「製造
業」「医療・福祉」「IT・通信」と続きます。
国内の飲食業を眺めてみると、コロナ禍からの立ち直りが進んでいる印象があります。加えて、宅配サービスが発展したことにより、外食産業が家庭内での消費活動に進出し、大きなチャンスが広がっているようです。そして、世界的には、健康ブームを背景に、日本食への関心の高まりがあります。これらを総合的に鑑みて「飲食業」にチャンスありと回答した専門家が増加しているようです。コメントには下記のようなものがありました。
「日本の料理や食材を活用したビジネスがますます盛んになってきているが、マーケットのニーズを十分に開拓できていない事象が多く見受けられる。」(マーケティングの専門家)
「世界中で食文化が多様化しており、海外市場での需要が高まっています。特に、日本の食文化やフランスのワインなど、各国の伝統的な食文化に注目が集まっている。」(マーケティングの専門家)
「飲食は日本においては成長しきっているが、ASEANにおいては今が成長期 。」(ASEANビジネスの専門家)
その他のコメントを見ていても、まだまだ日本食に関するニーズが大きいとされていました。最近までのインバウンドの盛り上がりによって「本物の日本食」へのニーズの高まりもあるでしょう。
一方で、そうしたチャンスを活かすために、ブランド確立は必要不可欠です。現状では、日本食の商機に目をつけた中国企業や韓国企業、そして欧米企業までが「日本食店」を運営し始めています。
そうした企業に日本食ニーズを奪われないためにも、「本物の日本食」を提供しているというブランドを確立していくことは重要です。チャンスを活かせるかどうかは、日本企業の取り組み方や工夫にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
上記の内容をさらに深掘りした日本企業の海外進出動向を「海外進出白書」にて解説しています。
『海外進出白書(2022-2023年版)』には、日本企業の海外進出動向の情報以外にも、「海外進出企業の実態アンケート調査」「海外ビジネスの専門家の意識調査」など、全117Pに渡って、日本企業の海外進出に関する最新情報が掲載されています。
下記のバナーより「海外進出白書(※PDFデータ(A4サイズ)/全117Pの大ボリューム!)」無料ダウンロードが可能です。

4. 優良な海外進出支援企業をご紹介
貴社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
今回は「海外で飲食店を開業するための資金調達方法と正しい流れ(ワークフロー)」について解説しました。
「Digima〜出島〜」には、厳選な審査を通過した優良な海外進出支援企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。
「海外での飲食店開業までの事業計画のサポートをお願いしたい」「海外店舗出店に向けた市場調査を何から始めていいのかわからない」…といった、多岐に渡る海外進出支援におけるご質問・ご相談を承っています。
ご連絡をいただければ、海外進出専門コンシェルジュが、貴社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介いたします。まずはお気軽にご相談ください。
(当コンテンツの情報について)
当コンテンツを掲載するにあたって、その情報および内容には細心の注意を払っておりますが、掲載情報の安全性、合法性、正確性、最新性などについて保証するものではないことをご了承ください。本コンテンツの御利用により、万一ご利用者様および第三者にトラブルや損失・損害が発生したとしても、当社は一切責任を負わないものとさせていただきます。
海外ビジネスに関する情報につきましては、当サイトに掲載の海外進出支援の専門家の方々に直接お問い合わせ頂ければ幸いです。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
27000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談
この記事をご覧になった方は、こちらの記事も見ています
コンシェルジュに無料相談する
入力1
入力2
確認
送信
もっと企業を見る

海外進出・海外ビジネスで
課題を抱えていませんか?
Digima~出島~では海外ビジネス進出サポート企業の無料紹介・
視察アレンジ等の進出支援サービスの提供・
海外ビジネス情報の提供により御社の海外進出を徹底サポート致します。
0120-979-938
海外からのお電話:+81-3-6451-2718
電話相談窓口:平日10:00-18:00
海外進出相談数
22,000件
突破