スリランカとは?知っておくべき国の実像と、日本企業の進出可能性
日本人があまり行かない、変な地域専門で海外ビジネス展開支援をしている「Frontieer Japan」の代表を務めている大谷と申します。
今回は、弊社がIT開発パートナーであるSoftSora LLCを構え、日々スタッフと現場を回っているスリランカについて書きたいと思います。
紅茶とセイロンティー、あとはスリランカカレーくらいのイメージしかない…という方も多いと思います。正直、私も最初はそのくらいでした。
でも実際に現地で数年ビジネスをしていると、スリランカという国の「地味だけど強い」魅力と、日本企業がまさに今入り込むべき理由がいくつも見えてきます。今日はそれを丁寧に解説します。
▼ スリランカとは?知っておくべき国の実像と、日本企業の進出可能性
1. スリランカってどんな国?
地図で見るより、実はだいぶ大きい
スリランカは、インド洋に浮かぶ島国です。面積は北海道の約0.8倍(約6万5,610平方キロメートル)、人口は約2,200万人。北海道よりひとまわり小さいくらいのサイズに、北海道の人口の4倍以上が暮らしている、というイメージを持っていただくとわかりやすいかと思います。
メルカトル図法の世界地図だと赤道に近い国は縮んで見えるので、「小さい島国」だと誤解されがちですが、実際に車で走ってみると九州の倍近くの広さがあることを実感します。移動もそれなりに時間がかかります。
主産業は紅茶・ゴム・宝石・衣類。そして日本とは意外と縁がある
主産業は紅茶(セイロンティー)、ゴム、宝石、衣類などです。日本企業でいうと、ノリタケが古くから進出している国としても知られています。
そしてスリランカ最大級の企業のひとつがHayleys PLC(ヘイリーズ)です。1878年創業、もともとはヤシの実の繊維(コイア)でタワシやマットを作る会社でしたが、現在では17もの事業セクターを持つコングロマリットに成長し、スリランカの輸出収入の5%超を稼ぎ出す超巨大企業になっています。ゴム手袋は世界シェアの約5%、ヤシ殻由来の活性炭では世界最大手というポジションも持っています。
突然ですが、マックのピクルスって、実はスリランカ製だって知ってました? 日本のマクドナルドで使われているピクルスの一部はスリランカ産のきゅうりが原料になっていますし、世界中の医療・工業用ゴム手袋にもスリランカ製が多く使われています。意外と、私たちの生活のすぐそばにスリランカがあるんですね。
真面目さと責任感、そして「日本式7S」教育
インドやパキスタン、その他南アジア・中央アジアでも長くビジネスを構築してきましたが、スリランカの人たちの真面目さや本気で物事に取り組む姿勢、責任感は、他の国と比べても際立っていると感じます。それが商品や成果物のクオリティにも直結しています。
海外向け商品だけではなくローカルの商品クオリティやレストランの内装ひとつでも細かいところまで意識を向けられており、非常に品質が高いです。
パキスタンなんて商品ラベルの印刷制度や貼り付けのズレなんて当たり前なので、、、、、。
実は日本の「7S」(整理・整頓・清潔・清掃・躾・作法・習慣)に近い考え方が大学教育で扱われているらしく、大卒の方であればだいたい知っているレベルで浸透しています。実際、スリランカの街並みはここ数年で全体的にきれいになっていて、特にコロンボの変化は目を見張るものがあります。
中規模国ならではの経済格差
一方で、国内の経済格差はまだまだ大きいです。首都コロンボ周辺は急速に発展していますが、北部や東部の地方に行くと、水道や電力インフラすら不安定な地域が少なくありません。この「発展したエリア」と「まだまだこれからのエリア」の差が激しいのが、今のスリランカのリアルな姿です。
ちなみに物価面では、日本食も海外価格としてはかなりリーズナブルです。コロンボではちゃんとした日本のラーメン(替え玉無料)が1,500円程度で食べられるので、長期出張の身としては地味にありがたいポイントだったりします。
2. 中国マネーで急成長する「今のスリランカ」
ポートシティ、ロータスタワー…この数年で街並みが激変
ここ数年、中国資本の影響もあり、大型モールやホテル、カジノなどの興行施設、ロータスタワーのような高層建築が次々とできており、コロンボは一気に様変わりしました。
中でも象徴的なのが「ポートシティ・コロンボ」です。海を埋め立てて作る新都市開発エリアで、まだまだ建設中ではあるものの、かなりの勢いと活気を感じる場所になっています。今後数年でさらに姿を変えていくエリアだと思います。
日本の地方ともよく似た「原料はあるが商品化が進んでいない」構造
面白いのは、私たちが普段スリランカ製と意識せずに食べている・使っているものが、実は結構身近に溶け込んでいるということです。これは日本の地方にもよく似ていて、原料や素材は豊富にあるのに、加工・商品化・ブランディングが追いついておらず、結局「安い原料」として買われてしまっている側面が強いんですね。
裏を返せば、ここに日本企業の技術やノウハウが入り込む余地がかなりあるということでもあります。
写真は面白いと思った炭酸紅茶。
この企業はフルーツジュースからエナジードリンクまで作っていてワインも試験製作中。かなりチャレンジングなことでも楽しんでいる珍しい企業。EU圏中東圏に爆売れ中。
3. 日本企業が輝ける理由① IT・オフショア開発 (SoftSora LLC)
日本企業専業で50名規模、スリランカ最大級の日系IT企業
弊社はコロンボ郊外にIT開発パートナーであるSoftSora LLCのオフィスを構えており、リモートワークを中心に50名前後のエンジニアが稼働しています。
トップ写真の社員旅行は残念ながら体調不良と家庭の都合で全員参加ならずでしたが、毎年社員旅行をメンバーの地元活性化ということで行なっています。
日本の有名企業や政府関連プロジェクトの開発現場として機能しており、日本企業のIT開発拠点という軸で見れば、スリランカで最大級の規模を持つ会社のひとつだと自負しています。
EDB(スリランカ輸出開発庁)やBOI(投資委員会)とも連携しており、JICAの開発途上国ICT連携プロジェクトへの推薦を受け、日本での展示会「ITweek」に出展した実績もあります。
スリランカ政府としては今後もITを中心に外貨獲得を進めていきたい意向があり、JICAやJETROなどの日本の政府機関も後押ししており、今後もIT産業の日本マーケット進出や日本からのビジネス獲得を積極的に誘致したい考えです。
また、AIデータセンターの誘致も計画されており、このプロジェクトは現在も各国からの投資や企業参画を募集しています。
オフショアあるあるの「時差・言語・考え方のズレ」がほぼない
ありがたいことに、稼働案件の99.99%が日本企業からの仕事です。そのため、オフショア開発でよくある時差や言語のギャップ、日本企業特有の仕事の進め方との温度差といったトラブルがかなり少ないのが強みです。
ある日本の有名企業とはすでに5プロジェクト目、エンタープライズゲーム企業とは2プロジェクト目に入っており、継続的にお付き合いいただけているのは、現場での信頼の積み重ねの証だと思っています。
社内のチームビルディングとマネジメント研修にも力を入れており、AWSアワードを受賞したスタッフをはじめ、優秀なメンバーが揃ったチーム編成は、海外企業・日本企業を見渡してもなかなか類を見ないアーキテクチャだと自負しています。今年からは日本だけでなく北米向けのエンタープライズ案件もスタートしており、事業の幅を広げているところです。
4. 日本企業が輝ける理由② 資源加工とFTAネットワーク
スリランカ単体は小さくても、「加工基地」としての価値は大きい
スリランカのマーケット自体はそこまで大きくないので、スリランカ向けに何かを直接販売する、というのは正直なかなか難しいというのが私の見解です。
ただし、スリランカには豊富な資源と農業生産があるため、「原料を仕入れて、スリランカで加工し、輸出する」という機能には非常に向いています。
周辺国とのFTAを使えば、インド・パキスタンの巨大市場に優遇関税でアクセスできる
ここが個人的に一番おもしろいポイントだと思っているのですが、スリランカは実はかなり広いFTA(自由貿易協定)ネットワークを持っている国です。整理すると、こんな感じになります。
二国間FTA(発効済み)
インド(ISFTA):2000年3月発効。スリランカの最初の二国間FTAです。
パキスタン(PSFTA):2005年6月発効。パキスタンにとって4,500品目超が関税免除の対象になっています。
シンガポール(SLSFTA):2018年5月発効。投資保護やサービス分野まで含む、スリランカにとって最も包括的なFTAです。
署名済み・発効待ち
タイ:2025年に署名済みで、現在国内手続き中。2026年内の発効を目指しています。
広域・多国間の枠組み(加盟)
SAFTA(南アジア自由貿易地域):インド、パキスタン、スリランカ、アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブ、ネパールが加盟。
APTA(アジア太平洋貿易協定):バングラデシュ、中国、インド、ラオス、韓国、スリランカが加盟。
GSTP(発展途上国間特恵貿易制度):発展途上国間の関税優遇の枠組み。
交渉中・凍結中の案件
中国とのFTAは2017年から交渉が凍結中
インドとのETCA(経済技術協力協定、ISFTAをさらに拡張する枠組み)も2018年から交渉が凍結中
2023年6月にはRCEP(地域的な包括的経済連携)への加入も申請済み
原産地規則の内容にもよりますが、スリランカ国内で一定の付加価値(目安として35%程度)をつけることができれば、優遇関税を受けた状態でインド・パキスタンといった南アジアの巨大市場、シンガポールを経由したASEANへのアクセス、さらには今後タイ市場にもアクセスできる可能性があるということです。「スリランカで作って、周辺の大市場へ売る」という設計は、十分に検討する価値があると思います。
人件費のリアルと、複合生産される"もったいない"副産物
人件費は正直まだまだ安く、専門職を除けば月2〜3万円程度で人材を確保できます。弊社がITチーム構築で培ったマネジメント人材の育成・提供も可能で、場合によってはオフィス機能も共有できるため、進出のハードルはかなり下げられると考えています。実際、すでに複数社と、日本企業製品の管理拠点としてのオフィス・人材・住所提供について協議を進めています。
現地で見てきた具体例をひとつ挙げると、海水から食塩を作っている企業があるのですが、設備が更新されておらず生産量が伸び悩んでいます。かといって、いきなり増産しても需要が追いつかず市場価格が下がってしまうので、販売網の確保と設備投資を同時に進める必要があります。
さらに面白いのが、食塩の生成過程で一緒にできる副産物です。にがり(マグネシウム塩)や高濃度の植物プランクトンなどが複合的に発生するのですが、これらの多くが有効活用されずに廃棄されています。また、食塩を医療用・化粧品用に純度99.99%まで高めた高付加価値品を作れる設備も、国内にわずか1カ所しかない状況です。
写真はクライアント様と訪問した塩田。海水を引き込んで自然乾燥させるが、傍に固まるのがマグネシウム塩。赤いのが天然だからこそできる植物プランクトンで、いわゆる赤潮そのもの。
これはあくまで一例ですが、こうした「原料はあるのに、仕上げの技術と設備投資が足りない」というケースは、農業・水産・鉱物系の分野を中心に本当にたくさんあります。
地方雇用がもたらすインパクト
弊社は北部や東部の地方出身者の採用も積極的に行っています。物々交換の文化が残り、月給1〜2万円という地域も多いスリランカの地方において、一人当たり数倍の外貨収入が入ることのインパクトは非常に大きいです。その町の経済効果や、日本への期待感というのは、想像以上に強いものがあります。
5. スリランカ進出なら「Frontieer Japan」にお任せください
2027年1月、EDB主催の国際見本市「Sri Lanka Expo」が開催されます
スリランカ輸出開発庁(EDB)主催の国際見本市「Sri Lanka Expo 2027」が、2027年1月14日〜17日の4日間、コロンボのBMICH(バンダラナイケ記念国際会議場)で開催される予定です。国内750社以上の出展者と、世界50カ国以上から1,500〜2,000名規模のバイヤー・投資家が集まる、スリランカ最大級の商談イベントです。
SoftSoraは現地EDBの公式パートナーとして、ITブースに’’特別枠’’としてブース出展いたします。
弊社ではこのタイミングに合わせて、視察・観光を交えた企業面談パッケージを企画しています。気になる方はぜひご相談ください。
来月2026年9月は海外ビジネスEXPO東京へ出展!
9月17日18日に行われる海外ビジネスEXPO東京にブース番号38番で出展いたします!
SriLanka SoftSoraチームが2名来日、パキスタンチームは緊急の別プロジェクトのため参加ならずですが、現地PCからオンラインで参加いたします。
スリランカ、パキスタン、中東圏ってどうなのというお話しや、実際の弊社クライアントにもブース応援をお願いしておりますので、弊社の貿易チームやITチームとプロジェクトを行なっての生の声をお届けできたらと思います。
ちょっとしたご質問でもお答えいたしますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
現地に根を張ったチームだからこそできる支援
Frontieer Japanは、UAE・パキスタン・スリランカをはじめとする、日本企業の進出がまだ限定的な地域を中心に、現地スタッフと緊密に連携しながらビジネス支援を行っています。
スリランカに関しては、IT開発パートナーのSoftSora LLCという「現場」を自社で持っているのが強みです。単なる紹介や視察アテンドだけでなく、実際にチームを組成し、マネジメントし、成果物を出し続けてきた経験があるからこそ、資源加工やものづくりの分野でも、現地パートナー探しから体制構築まで一気通貫でお手伝いできます。
原料はあるのに商品化が進んでいない。技術はあるのに設備投資が追いついていない。スリランカにはそんな「もったいない」がまだまだたくさん眠っています。そしてそこには、日本企業の技術と知見が生きる余地が確実にあります。
スリランカ進出、あるいはスリランカを拠点とした南アジア展開にご興味のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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