輸出に必要な規格と認証の調べ方|国別の強制認証と取引先の要求を切り分けて確かめる
海外の取引先から「認証は取っていますか」と聞かれ、何を指しているのか分からないまま社内に持ち帰ることがあります。輸出に必要な規格と認証は、国と商品によって違い、法律の義務もあれば、取引先の条件にすぎないものもあります。
たとえば中国のCCC認証は、対象製品に認証とマークがなければ輸入できません。一方、アメリカのUL認証は、取得そのものは任意です。同じ「認証」でも、取らなかったときの結果は大きく変わります。
この記事では、規格と認証の違い、主要国の制度、自社の商品に必要な認証の調べ方、取得の方法と取得後の管理を解説します。海外展開の流れ全体は、海外進出の流れと手順|社内準備から契約・撤退判断までの順番と先に済ませる確認で確認できます。
この記事でわかること
- ・強制規格・任意規格・取引先の要求の違い
- ・CE・FCC・CCC・KC・BIS・SNIなど主要国の制度の位置づけ
- ・商品の情報から必要な認証を調べる順番と、取引先に聞くこと
- ・自己宣言と第三者の審査の違い、取得後に続く管理
▼目次
1. 輸出の規格と認証の違い|強制規格・任意規格・取引先の要求

輸出で求められる規格と認証は、求められる根拠によって3つに分かれます。国の法律で決まる強制規格、取得するかどうかを企業が判断する任意規格、取引先が契約や調達の条件として求めるものです。同じ「認証」という言葉でも、取らなかったときに起きることが違います。
強制規格を満たしていなければ、商品はその国で輸入や販売ができません。任意規格や取引先の要求は、取らなくても輸入はできても、その取引先には売れないことがあります。どの費用を先にかけるかを社内で説明するためにも、調べ始める前にこの3つを分けておきます。
規格と認証の言葉の違い
規格とは、製品の安全性や性能、管理の方法などについて決められた基準のことです。認証とは、その基準を満たしていることを、決められた手続きで確かめて証明することです。規格が物差しで、認証はその物差しで測った結果の証明と考えると分かりやすくなります。
もう1つ分けておきたいのが、製品を見る規格と、会社の管理の仕組みを見る規格です。製品の安全性を確かめる認証は、商品やモデルごとに必要になることがあります。一方、ISO 9001のような規格は品質を管理する組織の仕組みを評価するものなので、取得しても、個別の商品が各国の製品安全の基準を満たしたことにはなりません。
社内で「ISOを持っているから輸出できる」という話が出たら、求められているのが製品の認証なのか、会社の管理の仕組みなのかを確かめます。この区別がないまま調べると、必要のない取得に時間をかけたり、必要な製品認証を見落としたりします。
強制規格|満たさないと輸入や販売ができない基準
強制規格は、国が法律や規則で定めた基準です。対象の商品は、基準を満たしていることを制度で決められた方法で証明しなければ、その国で輸入や販売ができません。送り先の国の取引先が熱心に買いたいと言っていても、この条件は変わりません。
たとえば中国の強制製品認証(CCC認証)は、対象製品について、認証を受けて認証マークを表示しなければ、出荷、販売、輸入などができないと定めています。インドネシアの国家規格SNIでも、政府が指定する強制品目は認証の取得が義務で、未取得の場合は輸入や流通が許可されません。
強制規格は、対象かどうかが商品ごとに決まります。同じ会社の商品でも、対象になるものとならないものがあります。会社全体でなく、輸出する商品1つずつについて確かめる必要があるのはこのためです。
出典:ジェトロ「中国の強制製品認証制度について」(2026年10月確認),ジェトロ「国家規格SNI、公式代理人の設定要件を追加(インドネシア)」(2025年4月)
任意規格と取引先の要求|法律の外で決まる条件
任意規格は、取得するかどうかを企業が判断する規格です。アメリカのUL規格は、製品の機能や安全性の標準化を目的とする製品安全規格で、認証の取得は任意とされています。ただし、州のプロジェクトでUL認証を義務付けている場合も多く、アメリカの電気製品の多くはUL認証品となっています。
法律上は任意でも、売り先の条件になれば取得を検討することになります。反対に、取引先の要求に見えて、中身が強制規格のこともあります。Digima〜出島〜に寄せられた相談にも、中国向けに製品を供給する取引先から、突然CCC認証の取得を求められたというものがありました。自社が直接進出していなくても、取引先の事業の広がりによって認証が必要になる場面があります。
取引先から求められたときは、法律で決まっているのか、取引先の社内基準なのかを聞きます。法律の義務であれば、取らないという選択はありません。社内基準であれば、別の規格の証明書や試験結果で代えられるかを話し合える場合があります。
2. 主要国の輸出に必要な認証|CE・FCC・CCC・KC・BIS・SNI
主要な国と地域の制度を並べると、制度の名前だけでなく、対象の決まり方や証明の方法にも違いがあります。電気製品を例に見ると、EUはCEマーキング、アメリカはFCCの機器認可、中国はCCC認証、韓国はKCマーク、インドはBIS、インドネシアはSNIが代表的な制度です。
一覧の役割は、どの制度を調べ始めるかの見当をつけることです。自社の商品が対象かどうかは、一覧だけでは決まりません。国ごとの対象の決まり方を押さえたうえで、次に説明する調べ方で商品1つずつ確かめます。
国別の主な認証制度の一覧
| 国・地域 | 制度 | 法律上の位置づけ | 対象の決まり方 |
|---|---|---|---|
| EU | CEマーキング | 対象製品はEU域内で販売する前に必要 | 玩具、電気・電子機器、機械の一部など、EUの共通ルールが定める製品 |
| アメリカ | FCCの機器認可 | 無線周波数のエネルギーを出す機器は販売・輸入の前に必要 | 無線機能がなくても、電子回路を持つ製品の多くが関わる。機器の種類で手続きが変わり、免除もある |
| アメリカ | UL規格 | 認証の取得は任意 | 州のプロジェクトで義務付けられる場合がある |
| 中国 | CCC認証 | 対象製品は認証とマークが必要 | 「強制製品認証目録」に載る製品。目録は不定期に更新される |
| 韓国 | KCマーク(電気用品) | 対象製品は認証などが必要 | 1,000V以下の電気用品を危険度で3つに分類 |
| インド | BISの強制認証 | 基本は任意で、一部の製品は政府が強制 | 政府の命令で指定された製品 |
| インドネシア | SNI | 強制品目は認証が必要 | 政府が指定。2025年1月時点で321品目 |
| ベトナム | 技術基準適合認証(CRマーク) | 指定品目は認証が必要 | 電気用品は13品目。LED照明製品4品目を追加。2027年4月から家庭用電気設備8品目を追加 |
表:国・地域別の主な認証制度(電気製品を中心に整理)
表は、電気製品を中心に主な制度をまとめたものです。EUとアメリカのFCCは「その製品に適用されるルールは何か」から調べ、中国やインドネシア、ベトナムは「対象の一覧に載っているか」から調べると進めやすくなります。
アメリカについては、FCCとULを分けて考えます。FCCは無線周波数のエネルギーを出す機器について、販売・輸入・使用の前に認可の手続きを求める制度で、無線機能のない製品も関わることがあります。UL認証は取得そのものは任意ですが、取引先や案件の条件になることがあります。
インドは、表の中でも扱いに注意が要る国です。BISの制度は基本的に任意ですが、一部の製品は政府の命令で強制になります。以前調べたときに任意だった商品が、今も任意とは限りません。
出典:Your Europe「CE marking」(2026年10月確認),FCC「Equipment Authorization – RF Device」(2026年10月確認),ジェトロ「UL規格の概要:米国」(2026年10月確認),ジェトロ「中国の強制製品認証制度について」(2026年10月確認),ジェトロ「電気製品輸出における電気用品および生活用品安全管理法の手続き:韓国向け輸出」(2026年10月確認),Bureau of Indian Standards「Product Certification Overview」(2026年10月確認),ジェトロ「国家規格SNI、公式代理人の設定要件を追加(インドネシア)」(2025年4月),ジェトロ「電気用品の技術基準適合認証制度:ベトナム向け輸出」(2026年10月確認)
1つの商品に複数の制度がかかる場合
1つの商品につき認証が1つとは限りません。EUでは、1つの製品が複数のEUの要求事項に同時に当たることがあり、CEマークを付ける前に、そのすべてを満たす必要があるとされています。アメリカのFCCでも、1つの製品に複数の機器が入っていれば、それぞれに異なる手続きが適用されることがあります。
韓国の場合、電気用品の安全についてのKCマークに加えて、無線機器やコンピューター周辺機器など電磁波を発する製品には、電磁波の基準への対応が別に求められます。KC認証は、製品によって両方の取得が必要になります。無線の機能を後から追加すると、この基準の確認が必要になることがあります。
複数の制度がかかるときは、商品の機能を1つずつ書き出し、機能ごとに当たる制度を確かめます。電源を使うのか、無線機能があるのか、子ども向けなのか、といった機能や用途の違いが、調べる制度の違いになります。
出典:Your Europe「CE marking」(2026年10月確認),FCC「Equipment Authorization – RF Device」(2026年10月確認)
食品と化粧品で確かめるハラール認証と表示の規制
食品や化粧品、医療機器では、電気製品とは別の制度を確かめます。製品の安全の認証に加えて、輸入の規制や成分の規制、商品の表示の決まりが関わるためです。たとえばジェトロは、インド向けの茶や青果物、健康食品について、品目別の輸入規制と輸入手続きを公表しています。
インドネシアでは、ハラール製品保証実施機関の決定が、ハラール認証の対象となる食品・飲料、食品添加物、化粧品、天然由来医薬品をHSコードで明示しました。ハラール認証とは、イスラム教の教えに沿って作られていることを確かめる認証です。ジェトロは、認証や表示の制度運用はなお整理の途上にあるとしています。海外進出白書(2025-2026年版)も、インドネシアでは食品・化粧品・衣料品などでハラール認証への対応が事実上不可欠であるとしています。
食品の場合は、原材料や製造方法まで関わるため、工場の工程を変えずに対応できるのかを早めに確かめます。工程の変更が要るなら、製造の責任者を調べる段階から巻き込むと、あとで商品の仕様を決め直さずに済みます。
出典:ジェトロ「基準・認証、規制、ルール」(2026年10月確認),ジェトロ「ハラール認証対象品目をHSコードで整理(インドネシア)」(2026年5月)
3. 輸出に必要な規格と認証の調べ方|商品情報から国の制度へ

必要な認証は、商品の情報をそろえ、送り先の国の制度に当たり、取引先の条件を聞き、結果を控えに残す順で調べます。商品の情報がないまま調べ始めると、制度の説明は読めても、自社の商品が対象かどうかを判断できません。
前の工程で輸出の供給能力を整理したときと同じように、社内の担当者から情報を集めるところから始めます。制度の解説を読むのは、そのあとです。1つの国だけでなく、次に検討している国についても同じ形で控えを作っておくと、国を比べるときの材料になります。
調べる前にそろえる商品の情報
| そろえる情報 | 聞く相手 | 調べるときの使い道 |
|---|---|---|
| 商品名と用途 | 営業の担当者 | 家庭向けか事業者向けかで対象が変わる制度に当たるため |
| HSコード(輸出入の品目を世界共通で分類する番号) | フォワーダー、通関業者 | 対象の一覧と品目を突き合わせる |
| 電圧・電源・無線機能・電子回路の有無 | 製造の担当者 | 電気の安全と電磁波・無線の制度の対象を見分ける |
| 素材・成分 | 購買の担当者 | 素材や成分の規制に当たるかを確かめる |
| 製造する工場 | 工場の責任者 | 工場審査がある制度で、審査の対象を確かめる |
表:規格と認証を調べる前にそろえる商品の情報
表の5つがそろうと、制度の説明を読んだときに自社の商品に当てはめられます。フォワーダーとは輸出入の輸送手配を代行する業者で、通関業者は税関への申告を代行する業者です。HSコードの見当がつかないときは、取引のある業者に聞くのが近道です。
HSコードは手がかりであって、それだけで対象かどうかが決まるわけではありません。中国のCCC認証には、目録の製品と商品コードの対象参考表とは別に、目録の説明と定義を書いた資料があります。番号が近いからと判断せず、目録に書かれた製品の説明まで読みます。集めた5つの情報は、国が増えても使い回せるので、商品ごとに1枚の控えにまとめておきます。型番が違う商品は、同じ内容でも別の行に分けます。
送り先の国の対象一覧|当局とジェトロの資料
商品の情報がそろったら、送り先の国の対象一覧に当たります。EUには、CEマーキングが必要な製品を定めたEU法の一覧があります。中国は市場監督の当局などが公布する強制製品認証目録、タイとベトナムはジェトロの「アジアの標準・規格」に分野別の強制規格リストが公開されています。
SNI認証のように、対象が随時追加される制度もあります。ジェトロの短信によると、SNIの強制品目は拡大傾向にあります。インドでは、政府の命令が定める製品が強制の対象です。一覧を見るときは、発表の日付を一緒に確かめ、古い資料だけで判断しないようにします。
読むときは、対象に当たるかどうかだけでなく、どの基準が適用されるのかも控えます。基準の番号が分かれば、社内の試験結果や部品の証明書で足りるのかを製造の担当者に聞けます。一覧が現地の言語でしか読めないときは、無理に自社で判断せず、次の段階に進むまで「未確認」と控えておきます。
出典:Your Europe「CE marking」(2026年10月確認),ジェトロ「中国の強制製品認証制度について」(2026年10月確認),ジェトロ「アジアの標準・規格」(2026年10月確認),ジェトロ「国家規格SNI、公式代理人の設定要件を追加(インドネシア)」(2025年4月),Bureau of Indian Standards「Product Certification Overview」(2026年10月確認)
取引先に聞くこと|法律か社内基準か
国の制度を調べたら、取引先の条件を確かめます。聞くのは4つです。求めているのは法律で決まった認証か、取引先の社内基準か。求めている規格の正式な名前と版は何か。証明書を出すのは決められた機関に限られるのか。別の規格の証明書や試験結果で代えられるのか、です。
取引先が「認証が要る」と言っていても、輸入の手続きをする現地企業と、最終的に売る企業で条件が違うことがあります。誰が何のために求めているのかを聞いておくと、あとから別の書類を求められる回数が減ります。回答はメールなど文面で受け取り、社内で共有できる形にします。
反対に、取引先が何も言わないからといって、認証が不要とは限りません。国の制度の義務は、取引先が知らなくても適用されます。輸入の手続きをする企業の認識も確かめたうえで、国の制度の確認結果と取引先の回答を別々の欄に書いておきます。
電気ポットを3つの国と地域へ輸出するモデルケース
| 送り先 | 最初に見る資料 | 分かること |
|---|---|---|
| EU | CEマーキングの対象の一覧 | 電気・電子機器が対象に含まれる。自己評価でよいか、第三者の審査が要るかを、当てはまるEU法で確かめる |
| ベトナム | ジェトロの制度解説 | 指定の13品目に電気ポットがある。技術基準適合認証とCRマークが要る |
| アメリカ | FCCとULの解説 | 電子回路の有無でFCCの手続きを確かめる。ULは取引先に条件を聞く |
表:電気ポットの輸出で必要な規格と認証を調べるモデルケース
表は、電気ポットを作るメーカーが、EU、ベトナム、アメリカへの輸出を調べる場合のモデルケースです。同じ商品でも、国によって最初に見る資料と、次に確かめることが変わります。
ベトナムでは、ジェトロの解説にある指定の電気用品に電気ポットが含まれるため、対象になることが早く分かります。EUでは、電気・電子機器がCEマーキングの対象に挙げられていますが、そこからさらに、どのEU法が当てはまり、どの手続きを取るのかを読み進めます。アメリカでは、電子回路があるかを製造の担当者に確かめ、ULについては取引先の条件を聞きます。
結果は、国ごとに制度名、対象かどうか、適用される基準、取得の方法、確かめた先、調べた日を1行ずつ書いて残します。調べた日を残すのは、制度が変わったときに、どの時点の情報で判断したかをたどるためです。
出典:Your Europe「CE marking」(2026年10月確認),ジェトロ「電気用品の技術基準適合認証制度:ベトナム向け輸出」(2026年10月確認),FCC「Equipment Authorization – RF Device」(2026年10月確認),ジェトロ「UL規格の概要:米国」(2026年10月確認)
4. 認証取得の方法と費用が決まる要因|自己宣言・製品試験・工場審査

認証の取り方は、大きく自己宣言と第三者の審査に分かれます。自己宣言は、製造者などが自ら基準への適合を確かめて宣言する方法です。第三者の審査は、指定された機関が製品を試験し、制度によっては工場も審査する方法です。どちらになるかは、国の制度と商品の区分で決まります。
取り方が分かると、誰に見積もりを頼むのか、社内で何を準備するのかが決まります。費用と日数は商品と制度によって大きく違うため、取り方を確かめてから、認証機関や試験機関に自社の商品で見積もりを取ります。
自己宣言で進められる場合|CE・KC・CCC・FCCの例
EUでは、CEマークの使用を許可する中央の機関はありません。適用されるEU法が自己評価を認めていれば、第三者の機関を入れずに評価できます。その場合でも、要求事項の特定、適合の証拠となる技術文書の作成、EU適合宣言書の作成と署名を行います。
韓国の供給者適合性確認の対象品は、製品試験を自社で行うことができ、工場審査と定期検査は要りません。中国でも2018年10月から、目録の一部の製品で製造者による自己証明を選べるようになりました。アメリカのFCCには、機器の種類に応じて、供給者適合宣言と認証の2つの手続きがあります。
自己宣言は、手続きが簡単という意味ではありません。第三者が確かめない分、適合の根拠を自社で書類にそろえて説明する責任があります。当局から求められたら、技術文書を出せるようにしておく必要があるため、社内に文書を管理する担当者を決めておきます。
出典:Your Europe「CE marking」(2026年10月確認),ジェトロ「電気製品輸出における電気用品および生活用品安全管理法の手続き:韓国向け輸出」(2026年10月確認),ジェトロ「中国の強制製品認証制度について」(2026年10月確認),FCC「Equipment Authorization – RF Device」(2026年10月確認)
第三者の審査が要る場合|製品試験と工場審査
第三者の審査では、製品試験に加えて工場審査が入るかどうかで負担が変わります。韓国の安全認証の対象品は、通関の前にモデルごとに安全認証機関の製品試験と工場審査を受け、年1回以上の定期検査が必要です。同じ韓国でも、安全確認の対象品は製品試験だけで、工場審査と定期検査は要りません。
中国のCCC認証の初回の申請では、型式試験(製品の代表サンプルを基準に照らして試験すること)と工場検査を経て、認証の可否が決まります。ベトナムの電気用品では、工場検査やサンプル試験を組み合わせる方式が通常で、認証は3年間有効です。ロットごとに審査する方式もあり、その場合は審査したロットだけに有効です。
EUの第三者の審査は、Notified Body(EU加盟国が認めた審査機関)が担います。法律が第三者の試験を求めていれば、この機関を入れなければなりません。リスクの高い製品で使われることが多く、機関を入れた場合は4桁の番号をCEマークの横に表示します。
出典:ジェトロ「電気製品輸出における電気用品および生活用品安全管理法の手続き:韓国向け輸出」(2026年10月確認),ジェトロ「中国の強制製品認証制度について」(2026年10月確認),ジェトロ「電気用品の技術基準適合認証制度:ベトナム向け輸出」(2026年10月確認),Your Europe「CE marking」(2026年10月確認)
認証の費用と期間が変わる要因|機種・設計・審査の回数
EUのCEマーキングでは、マークを付けること自体に料金はかかりませんが、適合性の評価の費用は製造者が負担し、製品の複雑さと手続きによって変わるとされています。ほかの国の制度でも、費用はどの試験と審査が要るか、対象の機種がいくつあるかで変わるため、公開情報の相場より、自社の商品での見積もりを基準にします。
費用を左右しやすいのは、機種の数と設計の変更です。モデルごとに試験を受ける制度では、輸出する機種を増やすほど手続きが増えます。最初に輸出する機種を絞れば、費用も日数も抑えられます。基準を満たすために部品や設計を変えるなら、その開発費も見積もりに入れます。
海外進出白書(2024-2025年版)では、ヨーロッパへの相談について、製造業を中心に「CEマーク取得を前提とした製品開発をコンサルティングしてほしい」という声が複数寄せられたことを取り上げています。認証は製品ができてから取るものとは限らず、開発の段階で考えておくと手戻りを減らせます。見積もりが出たら、その費用を輸出の価格で回収できるかも確かめます。
CEマークと任意の証明書の違い
認証を調べていると、民間の機関が出す証明書の案内を目にすることがあります。EUの公式サイトは、CEマーキングに有効ではない「任意の証明書」について注意を呼びかけています。こうした証明書は法的に認められたものではなく、製品の試験なしに発行される場合や、取引先や規制当局を誤解させる場合があるとしています。
CEマークを付けられるのは、EU法が定める正しい適合性評価を経たときで、さらに制度の対象である場合に限られます。対象でない製品にCEマークを使ってはいけないとも定められています。「CEの証明書が取れる」という案内を受けたら、適用されるEU法の手続きと合っているかを確かめます。
第三者の審査が必要な製品なら、担当する機関がEUの公式データベースNANDOに載っているかと、その手続きを担当する権限があるかを確かめます。証明書という名前が付いていても、法律が求める手続きの代わりになるとは限りません。支払いの前にこの点を確かめておくと、費用を無駄にせずに済みます。
5. 認証取得後の管理|有効期間・表示・制度変更
認証は取得して終わりではありません。有効期間の更新、定期検査、文書の保管、商品の表示が続きます。設計や部品を変えたとき、制度が変わったときにも、確かめ直す必要があります。取得前の見積もりには、こうした続く手間も含めて考えます。
管理する人が決まっていないと、期限切れに気づかないまま出荷してしまうことがあります。国と機種ごとの一覧に、期限と次に確かめる日を書き、担当者を決めておきます。兼任の担当者でも回せるように、確かめる時期を決めておくことが大切です。
有効期間と文書の保管|国ごとに違う決まり
| 国・地域 | 有効期間と検査 | 文書の保管 |
|---|---|---|
| EU(CE) | マークに有効期間はない。製品を市場に出した時点の適合を表す | 適合宣言書と技術文書を、市場に出してから10年以上保管し、最新の状態にする |
| 中国(CCC) | 証書は5年間有効。延長は満了の90日前までに申請 | 自己証明の場合、合致性情報の提出日から10年以上保管 |
| 韓国(KC安全認証) | 年1回以上の定期検査 | 表示は通関の前に整える(次の項目) |
| ベトナム(電気用品) | 工場検査などを組み合わせる方式は3年間有効。ロットごとの方式は審査したロットのみ | 技術ファイルを10年間保管 |
表:認証の有効期間と文書の保管(主な例)
EUのCEマークに有効期間はありませんが、法律や製品、製造者の連絡先に変更があれば、適合宣言書を見直して更新します。一方、中国のCCC認証やベトナムの電気用品の認証には、期限があります。同じ「認証」でも管理のしかたが違うため、国ごとに分けて控えます。
保管する文書は、取得の担当者の手元に置いたままにしないことです。担当者が替わると、当局や取引先から求められたときに探せなくなります。商品の型番ごとに、証明書、試験結果、宣言書、取得の費用の記録を同じ場所にまとめ、誰が見ても分かる名前を付けておきます。工場や主要な部品を変えるときは、取得した認証に影響しないかを、変更の前に担当者が確かめる流れにしておきます。
出典:Your Europe「CE marking」(2026年10月確認),ジェトロ「中国の強制製品認証制度について」(2026年10月確認),ジェトロ「電気製品輸出における電気用品および生活用品安全管理法の手続き:韓国向け輸出」(2026年10月確認),ジェトロ「電気用品の技術基準適合認証制度:ベトナム向け輸出」(2026年10月確認)
認証マークと商品の表示|認証のあとに続く確認
認証を取ったら、決められた形で商品に表示します。CEマークは、見やすく、読みやすく、消えない状態で付けることが求められています。韓国の場合、輸入品は通関の前に、マークや認証番号、モデル名、メーカー名に加えて、韓国内のアフターサービスの連絡先などを表示します。
認証が取れても、それで売れる状態になるとは限りません。海外進出白書(2025-2026年版)には、歯ブラシをアメリカで販売する事業者から、FDA認証の取得を済ませたうえで、現地で法的に義務付けられている商品表示の規制を確認し、パッケージを直すサポートがほしいという相談が紹介されています。
表示を直すにはパッケージの変更が必要になり、印刷の日数と費用が加わります。認証の担当者と、パッケージや表示の担当者が別々に進めていると、あとから手戻りになります。認証の見積もりを取る段階で、商品の表示に何を書くのかも一緒に確かめます。
出典:Your Europe「CE marking」(2026年10月確認),ジェトロ「電気製品輸出における電気用品および生活用品安全管理法の手続き:韓国向け輸出」(2026年10月確認)
制度変更の追いかけ方|通報のメール通知と当局の発表
規格と認証の制度は変わります。ジェトロによると、アメリカのFCCは2026年に外国製ルーターや電力インバーターなどへ規制を広げ、認証制度のさらなる見直しも提案しています。ベトナムでは2027年4月から、家庭用電気設備8品目の基準への適合が強制になります。インドネシアでは2024年6月以降、一部の製品で海外の製造者に国内の公式代理人の指名が義務付けられました。
変更を追う方法の1つが、ePingというサイトです。各国がWTO(世界貿易機関)の委員会向けに通報した製品の規制を検索でき、関心のある商品や市場を登録するとメールで通知を受けられます。通報は外国語で書かれたものが多いものの、送り先の国と商品を絞って登録すれば、見落としを減らせます。
BIS認証のように対象が広がってきた制度では、定期的に確かめることを担当者の仕事に入れます。出荷の前、設計や部品の変更の前、新しい国や取引先と話す前の3つの時点で、控えの内容がまだ正しいかを見直すと、抜けを減らせます。
出典:ジェトロ「広がるFCCの規制範囲(米国)」(2026年10月),ジェトロ「電気用品の技術基準適合認証制度:ベトナム向け輸出」(2026年10月確認),ジェトロ「国家規格SNI、公式代理人の設定要件を追加(インドネシア)」(2025年4月),ePing SPS&TBT platform「Home」(2026年10月確認)
6. 海外の認証取得でよくある質問
商談や社内の説明でよく聞かれるのは、調べる場所、第三者の審査が要るかどうか、ULやISOの扱いです。どの答えも、商品と送り先の国によって変わる部分があります。制度を確かめた日を添えて社内で共有すると、あとから見直すときの手がかりになります。
回答の制度名や国は、例として挙げたものです。自社の商品に当てはめるときは、前の章までの調べ方で、当局の一覧と取引先の条件を確かめてください。社内で費用の承認を取るときは、法律の義務か取引先の要求かを最初に伝えると、話が早く進みます。
輸出に必要な認証はどこで調べればよいですか?
送り先の国の当局が公表する対象の一覧で調べます。EUはCEマーキングの対象となるEU法の一覧、中国は強制製品認証目録が出発点です。タイとベトナムの強制規格リストは、ジェトロの「アジアの標準・規格」で公開されています。商品の用途、HSコード、電圧、素材を先にそろえると判断しやすくなります。
CEマークは認証機関の審査が必ず必要ですか?
必ず必要とは限りません。適用されるEU法が自己評価を認めていれば、製造者が技術文書を作り、EU適合宣言書に署名してCEマークを付けられます。法律が第三者の試験を求める製品では、Notified Body(EU加盟国が認めた審査機関)の評価が必要です。
UL認証がないとアメリカへ輸出できませんか?
UL認証の取得は任意なので、それだけで輸出できないわけではありません。ただし、州のプロジェクトで義務付けられている場合も多く、アメリカの電気製品の多くはUL認証品です。無線周波数のエネルギーを出す機器は別にFCCの手続きが関わるため、ULとFCCは分けて確かめます。
ISO 9001を取得していれば海外の製品認証は不要ですか?
不要にはなりません。ISO 9001は品質を管理する組織の仕組みを評価する規格で、個別の商品が中国のCCC認証やEUのCEマーキングの基準を満たすことの証明とは別のものです。求められているのが会社の仕組みか商品の適合かを確かめます。
海外の取引先から突然認証を求められたら、どこに相談すればよいですか?
まず法律の義務か取引先の社内基準かと、規格の正式名を取引先に確かめたうえで、Digima〜出島〜にご相談ください。商品と送り先の国、取引先の要求をうかがい、海外規格や現地の制度に詳しい専門家を無料でご紹介しています。
7. 輸出の規格と認証はDigima〜出島〜に相談
輸出に必要な規格と認証は、強制規格、任意規格、取引先の要求に分けて確かめます。商品の情報をそろえて送り先の国の対象一覧に当たり、取引先の条件を聞き、結果を国と機種ごとに控えます。取り方が自己宣言か第三者の審査かが分かれば、費用と日数の見積もりに進めます。
実際に調べ始めると、現地の言語でしか読めない資料や、自社の商品が対象かどうか判断のつかない制度に行き当たります。取引先の要求が法律の義務なのか分からないまま、見積もりの依頼先を探すこともあります。
Digima〜出島〜では、商品と送り先の国、取引先から求められている内容をうかがい、貴社の海外進出に最適な専門家を無料でご紹介しています。紹介を受けた専門家と契約するかどうかは、貴社でお決めいただけます。どの認証から手を付けるか迷ったときは、調べた内容のままで構いませんので、Digima〜出島〜へご相談ください。
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